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サファイヤ



Corundum
名称 サファイヤ 青玉
硬度
結晶系 六方結晶
比重 3.99
無色 青 緑 紫 黄 褐色

最高の色は『矢車菊の青色』

強い生命力を思わせる真紅のルビーと深い神秘性をたたえた濃青色のサファイアは、対照的な雰囲気をもつ宝石といわれるが、いずれも同じコランダム(鋼玉石)で酸化アルミニウムの結晶である。酸化アルミニウムの結晶は無色透明であるが、これに微量の他の成分が含まれるとルビーやサファイアの色になる。
サファイアはルビーと同じ硬度九。この石の青色は微量の酸化鉄と酸化チタンによる。
その含有率の微妙な違いによって青色の濃淡ができる。サファイアの中でも最も希少で価値の高いのが「矢車菊の青色」である。カシミール産のサファイアに多く見られるのでカシミールサファイア、カシミアンブルーともいう。

青色だけではないサファイア

赤色のルビー以外のコランダムの宝石をすべてサファイアと呼ぶ。無色、黄色、ピンク、紫などがあり、それぞれに名称がつけられ、ホワイトサファイア、ゴールデンサファイアなどと呼ぶ。ルビーでも淡い色のものはピンクサファイアという。これらの色は含有物によって出るもので、酸化鉄、酸化チタンの他に、ときに酸化クロムが微量に含まれることがあり、その量によっては石に赤味を加え、バイオレットサファイアとなる。オレンジ色のコランダムは、パパラチアといい、セイロン語で「蓮の花」を意味する。

大きい結晶が産出するサファイア

サファイアの青色成分の酸化鉄、酸化チタンは、ルビーの酸化クロムよりも浅い層にあるため、酸化アルミニウムと結合する率も高く、結晶も大きいものが産出する。数カラットの石は珍しくない。一九七〇年、大阪で開かれた万国博のセイロン館に陳列されたサファイアの「東洋の青い巨人」は四八六カラットもあり、注目を集めた。世界最大の記録はオーストラリアのクイーンスランドで一九四八年に発見された一九五八カラットのサファイアである。

サファイアもルピーと同じ東洋産の宝石

かつてはアッシリアやぺルシアがサファイアの産地として知られていたが、現在はビルマ、タイ、カシミール、スリランカ、オーストラリア、マダガスカル、タスマニア、アメリカのモンタナ州などで産出する。
サファイアもルビーと同様に産出地によって色調が様々に異なる。柔らかい光沢と矢車菊の青色をした最良のサファイアは、カシミールで発見されている。カシミールの産地は年中雪に覆われているヒマラヤのザスカール山脈中のナチブ高原。この地方の住民はサファイアを火打ち石として使用していたという。
ビルマのモゴック周辺で産するサファイアはロイヤルブルー。矢車菊に次ぐ色といわれ、透明度はカシミールサファイアより高い。スリランカ産の最高品は「かわせみのブルー」と呼ばれるもので、カシミールサファイアに劣らぬ品質で、ルビーと同じラトナプーラで産出する。オーストラリアではクイーンスランドのアナキー地方に産出し、いったいに暗青色を呈するものが多い。ここは十世紀末から採掘されている。

スター・サファイア『インドの星』

サファイアに白い星を思わせる六条の線を浮かび上がらせるスター効果(アステリズム)はスター・ルビーと全く同じ現象で、石の内奥から出た六条の線が、周囲までずっと切れずに走っているのが上質とされ、値もはる。
アメリカ自然史博物館の中の「モルガン・コレクションには「インドの星」と名づけられた五六三カラットという大きなスター・サファイアが収められている。

神秘性が与えたご利益

サファイアの語源は、サンスクリット語の「サターンの石」がはじめで、ラテン語では「青色」を意味する。
古い石であるだけに伝承、信仰が豊富にまつわりついている。この石の落ち着いた青さが、不変、誠実、徳望のシンボルとなったのはぺルシア時代。古代ローマ以降は眼病に効くとされた。中世の神学者アルべルトゥス・マグヌスは眼の病気によく効き、特に異物が入ったときはこの石を水に浸して眼に当てると書いている。十二世紀以降のヨーロッパでは特に聖職者の指輪として聖なる右手にはめられ、ことに僧正の叙位新任のときにはめる指輪は、金台のサファイアが使われた。ローマ法皇シクストゥス四世は三〇〇カラットのサファイア入りの指輪をつけたまま葬られることになったため、監視人を置いて盗難を防いだことが葬儀の司祭者によって記録されている。知的な神秘性が聖職者に好まれた。
また王侯にも「王の石」として尊重されたので、王冠を飾ったものも少なくない。十一世紀の英国王エドワードが指輪として使ったというローズカットのサファイアは、その後英国の王冠にはめ込まれている。

夏の宝石ルビー、秋の宝石サファイア

七月の誕生石でもあるルビーは、夏に美しく見える。ルビーは蛍光反応が強く夏の強い紫外線を受けると鮮やかな赤色蛍光を発するからだ。一方、同じコランダムでもサファイアは秋の宝石、魂の宝石といわれ、それを身につけると妬んだり嫉妬されたりすることなく神の恵みが得られるという、まさに実りの秋にふさわしい宝石である。


 参考文献
(株)講談社「宝石宝飾事典」
 柏書店松原(株)「宝石・貴金属大事典」
 中央宝石研究所パンフレット
 情報・宝石画像提供 ジュエルクライム

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