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水晶


Quartz
名称 水晶
硬度
結晶系 六方晶系
比重 2.65
無色 紫 黄

水晶とは

石英質の宝石のうち透明な結晶のものを水晶という。無色のものと紫、黄、褐色、ピンク、緑、青、黒などの色のついたものとがあり、色によってあるいは内包物によって名称が分けられている。これらは岩脈や岩の割れ目、またはポケットに美しい結晶として成長する。
水晶の硬度は七で、これはモースの硬度七の標準となっている。結晶は六方晶系で柱状をなし、柱面に平行の線条がみられる。

ロッククリスタル

語源はギリシア語で氷を意味する。古代ギリシア人が最初にこれを発見したのは、オリンポス山の山奥の人目につかない洞窟の中で、彼らは水を永久に閉じ込めるために、神々の手で凍結させられたものと信じて、この名前をつけたといわれる。日本でも。奈良時代には「水精」と書かれていた。それは山奥深くに湧き出る氷のような水が、凝結してできた水の精と思われていたかららしい。

日本の研磨技術は名人芸的

かなり大きな結晶で産出されるものもあるので、彫刻などの材料に適し、ギリシアやミケーネ時代、中世において、多くの精巧な彫刻がなされている。日本でも仏像や五重塔などに彫刻され、特に水晶球は名人芸的な技術とされ、明治初期には見事な水晶の球が外国ヘ流出している。ヨーロッパではこれを「水晶占い」の球として用いていた。かつては山梨県でかなりの量の水晶が産出されていたのだが、現在ではほとんど産出せず、むしろブラジルから輸入している状態である。研磨産業は甲府市で続けられている。甲府の水晶研磨技術は高度で、これは一八三四年に京都からやって来た玉屋弥助という研磨師によって伝えられたといわれている。

宝石としてよりも産業面での活用が

宝石用としてはファセットカットやビーズに研磨され、ネックレスやぺンダントに用いられることが多い。一八八〇年に水晶による圧電気効果が発見され、一九二二年に実用化されると、宝石としてよりも産業面で重要視されるようになってきた。放送用の波長のコントロールに使われている水晶発振子、精密時計、海底通信器を始め、紫外線に対して透明であるため、スぺクトル分析用の分光器のプリズムやレンズ用としても使われている。

プラジルは量も品質も世界一の産地

水晶の産地は世界中にあるが、産出量の多い点、品質の良い点でブラジルが第一である。
マダガスカルでは大形の結晶が産出する。そのほかスイス、フランス、アメリカのアーカンソー州などで産出する。

アメシスト

水晶類の中で最も人気があり、その色合いから紫水晶の名で親しまれている。色の幅は広く、ほとんど無色に近い藤色からみごとな紫にまで及んでいる。アメシストの色の原因は解明されていないが、一般的には微量のマンガンを含むためと考えられている。しかし化学分析や分光分析の結果では、この元素の存在のないものもある。他説にはフェロシアン化カリウムやフェロシアン化物、有機物質による着色を原因としているもの、薄板状の双晶構造であるために双晶の接解部に異種鉱物の分子が集結して、紫をなすとしているものもあるが、いずれも確説ではなく、多分に謎めいたところのある石である。
色の問題は複雑で、アメシストのある種のものは、摂氏四〇〇〜五〇〇度で黄褐色あるいはガーネットに近い赤に変化する〈別の産地のもので緑色になるものもある)。これを利用してアメシストを熱処理して黄水晶をつくり、シトリン・トパーズの名称で売られることがある。

歴史的にも古いアメシスト

アメシストには昔から悪酔いをさますといういい伝えがある。色がワイン色に近いことから連想されたとも考えられるが、この石を持っているとアルコール飲料を飲み過ぎても苦しまず、眠けを払い、解毒剤にもなり、戦争で負傷することもないなどと信じられていた。ギリシア神話によるアメシストの由来は、酒神バッカスと清らかな乙女アメシストの物語として描かれている。中世キリスト教の社会では禁酒、禁欲を象徴する石として、この時代の儀典や祭器につかわれている。また、司教たちの指輪としても用いられていた。現存する最古のものはギリシアのミケナエ王子の持っていたアメシストといわれている。

金とよく合うアメシスト

宝石としてはカボッション形、ブリリアント形、ステップ形などに磨かれ、金とよくマッチするので金細工でセットすることが多い。
古くからの産地にソ連のウラル山脈がありアメシストの色としては最高といわれる、赤味の多い色合いのものを産出していたが、現在の状況はわかっていない。日本に多く入荷しているのは、ブラジル産及び南アフリカ産のものである。

シトリン

黄水晶と呼ばれているが、色合いはバラエティに富んでおり、淡いゴールドイエローから黄褐色まである。その色の原因は第二鉄の状態で含まれる微量の鉄によると推察されている。天然の黄水晶はかなり少なく、ほとんどがアメシストを熱処理することによって変色させたもので、アメシストを加熱すると黄褐色になることを最初に発見したのは、ブラジルの鉱夫たちであった。それも焚火の中にアメシストのかけらを入れるという、ほんの偶然から発見されている。天然の最良質のシトリンはブラジルで産出する。

その他の水晶

ローズクォーツ=濃いローズピンクから無色に近いものまであり、日本では紅水晶と呼ばれている。水晶類の中で通常の結晶は示さず、バラ色をした塊状で産出する。ほとんどのものに割れ目がたくさん入っており、大きなもので完全に透明なものはないといわれている。
ピンクをしているのは酸化チタンの含有によるものとされているが、マンガンによるという説もある。ある種のローズクォーツは針状ルチルを内包していて、それが主結晶の一定方向に配列しているために、正しい向きで石を見ると、スター効果の現れるものがある。
最良質のものはブラジルから産出され、その他マダガスカル、インド、南西アフリカ、ドイツ、ソ連のウラル山脈、アメリカのメーン州、サウスダコタ州などが産地となっている。

スモーキークォーッ=日本名は色合いから茶水晶と呼んでいる。イギリスではスモーキークォーツ(煙水晶)であるが、比較的色の濃いものはカンゴーム、さらに濃く黒っぼいものはモリオンと区別している。スモーキークオーツの色の原因については、有機質または炭素質の存在があるためという説や、周囲の放射性鉱物により、長期間に渡って放射線を受けたためなどの説がある。主産地はスイスのアルプス山中、スぺインのコルドバ地方、オーストラリアのニューサウスウエールズ州、アメリカのコロラド州、メーン州、カリフォルニア州などである。

ルチレイテッドクォーツ=結晶の成長途中に別の鉱物が入り込み、そのまま成長を続けると、水晶の中にまるで額に絵を入れたように内包される。その内包物によっていろいろな名称がつけられている。ルチレイテッドクォーツは赤や金色のルチル(金紅石)の針状結晶が、長い毛髪のような状態で内包されている。水晶の中に含まれる鉱物はこのほかにもたくさんあり、四〇種近くが発見されている。
黒っぼいトルマリンの結晶や緑色のアクチノ閃石の繊維状結晶を内包するものはティーティス(海の神の娘)のへアーストーンと呼ばれ、緑色のクローライト(緑泥石)が草状に内包されているものは草入り水晶といわれる。
酸化マンガンによって樹枝状を示すものはデンドリィティッククォーツ、紫あるいは茶水晶中にゲーサイト〈針鉄鉱)が内包されたものはカコクセナイトと呼ばれている。
 
 参考文献
(株)講談社「宝石宝飾事典」
 柏書店松原(株)「宝石・貴金属大事典」
 中央宝石研究所パンフレット
 情報・宝石画像提供 ジュエルクライム

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