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ラピスラズリ 瑠璃


Lapis-lazuli
名称 ラピスラズリ 瑠璃
硬度 5.5
結晶系 等軸晶系
比重 2.85
紺青色

樹青色の一穏なものが上等

ラピスラズリは数種の鉱物の複雑な集合体であって、他の多くの宝石鉱物とは異なる。
美しい色合いがこの石の生命であり、それは藍方石、方ソーダ石、ゆう方石、天藍石の主なる四つによる。
多くのものは黄鉄鉱が含有物として存在し小斑点として点在している。高品質のものはその部分が黄金色に輝いている。低い品質のものは白色の斑点があり、これは方解石による。このほか少量の透輝石や普通輝石、雲母、角閃石なども存在し、鉱物というより岩石に近い。硬度は五・五と低く、研磨しやすい。
円形や楕円形のカボッションに磨いて指輪にするもの、板状にしてイヤリングやぺンダントにするものが多い。不透明な青色の落ち着きが好まれ、男もののカフスボタンやタイタックとしても人気がある。
ラピスラズリの色は緑色を帯びた青色から濃い青紫色までの青色で、中でも深みと強さをもった紺青色が良いとされている。全体として均一な色をしていることは少なく、紺青色の一様なものほど高く評価される。岩絵の具の群青はこの石からつくられたもの。またトルコ石と同様に、金と合わせて細工される。

『瑠璃』として七宝の一つに

語源はアラビア語もしくはラテン語で、ラピスはラテン語で「石」を意味する。石としての歴史は古く、エジプト、ローマ時代から珍重されており、有名なツタンカーメンの胸を飾るスカラべも、この石で象られている。
欧米ではこの石が非常に愛され、特に中近東のイスラム教国では、回教寺院のモザイクの壁などにも用いられ、大切にされている。東洋では古くから瑠璃という呼び方で親しまれてきたもので、七宝の一つに数えられ、法華経や阿弥陀経にも登場している。また、呼び方としては青金石というのもある。

古代人が好んだラピスラズリ

紀元前三〇〇〇年、メソポタミアのシュメール文明はすでに華麗に花開き、金のすばらしい細工が装身具、器、戦車の装飾、動物、楽器などに施されていた。一九二二年、イギリス人考古学者レオナルド・ウーリー卿の指揮のもとに発掘された都市国家ウルの王の墳墓は、実にツタンカーメンの王墓以来の偉大な発見といわれたが、特に王妃シュバドの墓からは、数々の注目すべき装身具が発掘されている。広々とした埋葬室には金、銀、ラピスラズリ、各種のめのうのビーズで仕上げられた「衣服」をまとった王妃が横たわっていた。そこに使われた宝石の量からみて、それは「ジュエリーというよりむしろ豪華に飾られた衣服そのものであった」と記録されている。おびただしい数の金の指輪、イヤリング、ブレスレット、ネックレスなどを引き立てていたのがラピスラズリの青紫色とカーネリアンの赤であった。王妃の右腕のそばには三本の金のヘアピンが置かれていたがいずれもラピスラズリの玉がつけられており、三個の魚の形をしたお守りは、二個は金製だったが、一個はラピスラズリでできていた。金とラピスラズリの組み合わせの美しさは、シュメール人がすでに知っていたわけである。
同時期、インダス文明においては、金はそれほど多くは使われておらず、女性たちの身を飾ったのは様々な貴石、半貴石のビーズで、主にカーネリアン、ジャスパー、アマゾナイト、ひすいなどを使い、それにアフガニスタン産のラピスラズリを混ぜて使っていた。
一方、古代エジプトでは何世紀にもわたって王朝の繁栄が続いたが、初期にはメソポタミアの影響を受けながら、独特の様式、技術を産み出している。ラピスラズリ、トルコ石、カーネリアンなどがビーズとしてだけでなく七宝と併行して、色彩を豊かにするためカットされ、磨かれて使われた。ツタンカーメンの装身具を見ると、ナットゥ、ネクべットゥなど神々のシンボルが、細線細工や七宝、象眼などの高度な技術で作り出されているのに驚かされる。そして面白いことに、ネックレスなどに使われたビーズの多くは、ファイアンス焼きで、その色はラピスラズリの青紫色とトルコ石の空青色に似せて作られている。
聖なるスカラべは金やラピスラズリ、さんごなどでも作られたが、ラピスラズリ色のファイアンス焼きも多い。また、モーゼの十戒が刻まれたサファイアの板は、実はラピスラズリであったことが明らかにされている。

歴史的にも古いアフガニスタン産

ラピスラズリの有名な産地はアフガニスタンの北東部にあり、そこの鉱山では六千年もの長い間にわたり、断続的に採掘されている。
採掘方法は非常に原始的なもので、岩石を熱して急冷却し、一個を四キログラム余りのサィズに凝縮させるという方法をとる。それはこの鉱脈がえてして高山の辺ぴな所にあり、不便な所から運び出すので、できるだけ運びやすくするためである。アフガニスタンで採掘されたものは、西パキスタンへ入り、ラホールで宝飾品に加工されている。
シべリアのバィカル湖付近でも一時産出されたが、十九世紀末に鉱山は見捨てられているので、その後の状況は定かでない。南アメリカのチリではアンデス山中に鉱山があり、そのほかには北アメリカのカリフォルニア州、カナダ、ビルマ、アンゴラ、パキスタンがある。

 参考文献
(株)講談社「宝石宝飾事典」
 柏書店松原(株)「宝石・貴金属大事典」
 中央宝石研究所パンフレット
 情報・宝石画像提供 ジュエルクライム

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