> クンツァイト  ジュエリー宝石百科事典

クンツァイト


Kunzite
名称 クンツァイト
硬度 6〜7
結晶系 単斜晶系
比重 3.18
薄紫

クンツァイト

宝石には古い歴史のあるものが多いが、この石はたいへん新しく、今世紀の初頭に発見されている。ラべンダーの色味のあるピンクが持ち味で、スポデューミン(リシア輝石)と呼ばれる鉱物の一変種である。スポデューミンというのはギリシア語の「焼いて灰になる」という語に由来しており、宝石として用をなさないような、品質の低い結晶を指す語とされていた。スポデューミンの主な用途は、リチウム金属あるいはその化合物の原料にするくらいであった。しかし、クンツァイトのように宝石となる種類が発見され、エメラルドグリーンのもの(ヒデナイト)や黄色、黄緑色などの結晶も発見されて、スポデューミンは宝石学上、重要となった。
主成分はリチウム・アルミニウム珪酸塩で単斜晶系に属し、扁平な柱状結晶で産出される。硬度は七と高いが、もろくてひびの入りやすい性質である。このためファセットカットは難しく、さらに結晶が薄い板状であるために、色合い良くカットするのはたいへんな作業となる。このため一般には厚くカットして、色を濃くしている。クンツァイトの中には太陽光線に晒すと退色するものもあるので、注意が必要である。

クンツ博士が発見したクンツァイト

アメリカの有名な宝石の権威者であるクンツ博士が発見したところから、クンツァイトと命名された。北アメリカではかなり人気がある宝石になっている。クンツ博士の名前がつけられるようになったのは、次のようなエピソードからである。
一九〇二年のある日、クンツ博士はカリフォルニア州のパーラ地区にある鉱山の付近を歩いていて、美しいピンクの石を発見した。さっそくその石をニューヨークに送って調べてもらったが、トルマリンと判断された。ところが博士はトルマリンとは感じが違うと疑問を持ち、結局自身で実験をし、調べてみた。
その結果スポデューミンの一種であることが判明し、すでにスポデューミン系の宝石として知られていたヒデナイトとも異なっていることを発見した。クンツ博士は一九〇三年のアメリカのある科学誌に「もしほかのスポデューミンとの間に顕著な相違があるなら、新しい名称をつけるべきであろう」と控え目に発言をした。その後科学者のチャールズ・ヴァスクビルが頭著な相違を認め、クンツ博士の名にちなんで「クンツァイト」という名称を科学論文に発表した。こうしてその後はラべンダーの色味を持つ、ピンクのスポデューミンは、クンツァイトと呼ばれている。

宝石用のスポデューミン

クンツァイト発見以前にも宝石用としてのスポデューミンは発見されている。一八七九年頃、ブラジルで透明な黄色のスポデューミンが発見され、その当時はクリソべリルとして売られていた。次いでノースカロライナ州で、緑及び黄緑っぽい色合いの結晶が発見されている。やはりスポデューミンとはわからず、ダイオプサイト〈透輝石)とされていたが、その後スポデューミンであることが判明し、この石にはヒデナイト〈ヒデナイトの項参照〉と名づけられた。クンツァイトが発見されたのは、この時期からずっと遅れて、二十数年後のことである。

主な産地はカリフォルニア州の鉱山から

クンツ博士によりカリフォルニア州の一鉱山でクンツァイトが発見された後、同じカリフオルニア州の他の鉱山からも多量に発見され、それ以後カリフォルニアはクンツァイトの重要な産地となっている。ブラジルのミナスジョライス州でも宝石質のスポデューミンが大量に発見されている。この鉱山のものは淡黄色または淡緑色の石がほとんどで、クンツァイトは少ない。同国の他の鉱山では明るい緑のものや青のスポデューミンを産出し、ライラック色と緑色の二色を合わせ持つ、珍しい石を産出する鉱山もあるようだ。アメリカ以外ではマダガスカルでクンツァィト及び緑、黄のスポデューミンが産出され、ビルマも産地の一つになっている。
 
 参考文献
(株)講談社「宝石宝飾事典」
 柏書店松原(株)「宝石・貴金属大事典」
 中央宝石研究所パンフレット
 情報・宝石画像提供 ジュエルクライム

工房アンジュのメニュー


商品カテゴリー


コンテンツ


工房アンジュ内を検索