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ダイヤモンド


Diamond
名称 ダイヤモンド 金剛石
硬度 10
結晶系 等軸結晶
比重 3.52
無色 黄色 褐色 緑 青 ピンク

美しさより硬さが珍重されたダイヤモンド

「美しい石」「硬い石」「高価な石」がダイヤモンドを象徴するが、光り輝く美しい石となってからの歴史は浅く、古代から中世にかけては「硬い石」として珍重されていた。旧約聖書の『エゼキエル書』第三章第九節には「我なんじの額を金剛石の如くし、磐よりも硬くせり」、第七章第十二節には「且その心を金剛石の如くし」とあり、ともに硬い石として記述されている。
ダイヤモンドの語源であるラテン語のadamasは「征服し難い」あるいは「磨き得ない」の意である。古代人にとってダイヤモンドを持つことは、何よりも硬く、征服し難い強いものを手に入れるのと同じであった。これを護符として身につけることによって自らを守り得ると信じた。「金剛心」「金剛経」などと書くのもまた同様で、東西で同じイメージを二千年にわたり保持してきたともいえる。

地球上で最も硬い物質

ダイヤモンドの硬度は10。万物最高の硬さを誇り、硬度9のコランダム〈ルビー、サファイア)との差は7倍とも10倍ともいわれ他を引き離している。宝石学者クルークがダイヤを二枚の鋼鉄板ではさみ、その四隅を加圧した結果、ダイヤは鋼鉄にくい込んだものの少しもキズつくことはなかったという。
その反面、特にはっきりした劈開性—結晶形の八面体に平行な四方向を持ち、この方向に力が加わると割れることがある。
ダイヤモンドの成分は炭素の単結晶で、結晶体は等軸晶系に属し、通常、正八面体、十二面体、六面体である。ダイヤはその原子間の結合がきわめて強く、それが比類ない硬さを生む。また化学薬品、酸、アルカリ、光、水などの影響を受けず、永遠の耐久性を持つ。

プリリアントカットの完成が美しい石に

古くから硬い石として珍重されたダイヤモンドが美しい石として宝石の王となるには、近世の研磨術の進歩が必要であった。とくにブリリアントカット(屈折率二・四二をフルに利用できる角度を持つカット)が作られてからである。原石のダイヤモンドは氷砂糖のような結晶で、通常、輝いていない。
「磨き得ない石」といわれたダイヤをはじめて磨いたのは、十五世紀で、べルギーの宝石研磨師ラドウィッグ・べルケムである。ダイヤの粉をグリスに混ぜ、根気よくダイヤの面をこすり平面を作るのに成功し、「ダイヤはダイヤで磨く」の原理が実証された。十七世紀にはべネチアで最初のブリリアントカットが開発され、その後、数学者の理論やカット法を得て、今日の五十八面体のブリリアントカットが完成した。

宝石になるダイヤはわずか10パーセント

炭素が単一に無色透明の硬い結晶になるまでに、およそ十億年もの歳月と、地下100〜200キロの深さで燃えたぎる高温と強大な圧力を要したといわれる。その産出量はきわめて少なく、土砂中、一億分の一の率でしか発見できないという。しかも発掘された原石の中で宝石として価値があるのは、わずか10パーセントで、残りは工業用になる。このわずかな宝石用ダイヤも、大部分は黄色や褐色を帯びており、完全に無色透明なダイヤはさらに少量である。

王候貴族の富と権カのシンポル

十七世紀から十八世紀、ヨーロッパの宮廷文化最盛期、王侯貴族たちは富と権力を誇示するために、競ってダイヤで飾りたてた。その結果、イギリス、フランス、ロシアなどの王朝にはホープ、リーゼント、コ・イ・ノール、オルロフなどの名のついたダイヤモンドが収められることになった。
有名な東洋探険家のタヴェルニュにインドからダイヤを運び込ませたルイ太陽王。ダイヤの首飾り事件というスキャンダルで身を滅ぼすマリー・アントワネット王妃。英雄ナポレオンのダイヤ好きとフランスの歴史にダイヤは色濃く影を落としている。英国では、宝石にうずまった肖像を残すエリザべス一世を始め、ビクトリア女王にいたる一連の王冠、王易の巨大なダイヤなどその豪華絢爛さは、今もロンドン塔内で見ることができる。
ロシア王室もかつてはダイヤの宝庫であり、エカテリーナ二世の愛人名を付したオルロフダイヤが代表的な石とされている。

値値を決める四つのC

宝飾用にしても財産用にしても、ダイヤは一定の基準によって等級づけられ、値づけられる。その等級の基準となるのが四つのC。すなわちcut「カット・研磨」、carat「カラット・重量」、colour「カラー・色」clarity「クラリティ・透明度」を指す。

カット=カットは五十八面体のブリリアントカットがダイヤモンドを最も美しく光り輝かせる。ブリリアントカットの理想形は前面から入射した光が全部、底部で屈折し表面から放出される仕組みになっている。そのためにダイヤモンドはまるで内部から光を発しているかのように見え、目を射るような輝きがでるのである。
この理想形からはずれて、あまりにも底を深くカットすると側方から光がもれてしまうし、逆にあまりにも平たく、底が浅いと底部から光がもれることになり、どちらも輝きを落とすことになる。したがって理想形に近いプロポーションのものが、品質のよいダイヤといえる。
ダイヤの磨き方はブリリアントカット(正確にはラウンド・ブリリアントカット)ばかりではなく、その他にブリリアントカットの変形であるオーバルカットや、ぺアシェープカット、マーキーズカット、その他四角いステップカットなどがある。

カラット=カラットはギリシア時代からの宝石の重さの単位。もとは豆科の植物、カラスノエンドウの実の重さによったというが、現在では1カラットが0.2グラムと科学的に決められている。ダイヤの価格はカラット数が増えるにしたがって加算的に増えるのではなく、カラット数の自乗に比例して高くなるといわれている。たとえば1カラット四百万円のダイヤが2カラットになれば、千六百万円にはねあがるのである。

カラー=カラーは白、または無色にわずかに青味のかかった「ホワイト・ブルー」が最良といわれ、黄色、褐色、黒などを帯びると評価が下がる。
しかしピンクダイヤ、カナリヤイエローのダイヤなど特に珍しい色を有するダイヤは、その希少性から法外な値段がつけられる。ワシントンのスミソニアン博物館には、青ダイヤとして有名な「ホープ」と呼ばれる石がある。
この石は澄んだ空の青さと、虹のような七色の輝きをあわせもつ。カナリヤ色の名石としてはティファニーダイヤがある。

クラリティ=クラリティは透明度とキズの程度を示す。キズの程度には①顕微鏡で鑑定士が見てもキズのないもの②10倍のルーぺで見てもキズのないもの③ルーぺでは目立っても肉眼では気にならないもの④肉眼ではっきり見えるものなどがある。①②の段階まではキズも容認できるが③では価格に響き、④の段階のダイヤは避けた方が安全である。

歴史に名を残す有名なダイヤモンド

ダイヤモンドの歴史は古く、人類そのものの歴史ともいえる。何百年もの歴史とロマンの物語を秘めた有名なダイヤも少なからずある。四千年もの歴史を持つコ・イ・ノールは、中近束の王族たちの権謀と強奪の間を転々とし、1849年、イギリスによるパンジャブ併合とともに英国に渡った。1911年のメリー女王の戴冠式の王冠に飾られ、現在はロンドン塔に陳列されている。ぺルシア語で「光の山」の意味を持つコ・イ・ノールは109・1カラットある。
世界最大で最も美しいといわれるのがカリナンダイヤモンド。1905年に南アフリカのプレミア鉱山で掘り出され、原石は三一〇六カラットの大きなもの。1908年に四つの大きな石と細かい石に分割された。一番大きなカリナンは516・5カラットのぺアシェープ形ブリリアントカットで、イギリス王の王易にセットされている。309・2カラットで四角形ブリリアントカットのカリナンⅡは、やはりイギリスの王冠にはめこまれている。

 
 参考文献
(株)講談社「宝石宝飾事典」
 柏書店松原(株)「宝石・貴金属大事典」
 中央宝石研究所パンフレット
 情報・宝石画像提供 ジュエルクライム

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