> 珊瑚 さんご  ジュエリー宝石百科事典

珊瑚 さんご


Coral
名称 珊瑚 さんご
硬度 3.5
結晶系
比重 2.70
白 ピンク 赤 黒

サンゴ虫が作った海の宝石

サンゴ虫は、海底の岩上に群体をなし、石灰質を分泌しながら樹枝を形成する。サンゴ虫が死ぬと樹枝だけが残り、これが宝石のさんごとして使われる。
サンゴ虫はイソギンチャクやクラゲに近い仲間で、腔腸動物の中でも花虫類に属す。花虫類はさらに八放サンゴと六放サンゴに分類され、宝石のさんごとなるのは八放サンゴの中の本サンゴである。本サンゴの成長は年間四ミリ程度、寿命はおよそ四、五百年と推測される。本サンゴが好んで成育するのは、大陸だなのある海の水深一〇〇〜一〇〇〇メートルの岩礁といわれる。

日本近海のさんご漁場

古くから良質のさんごの産地としてアルジェリア、モロッコ、チュニジアなどの地中海沿岸が有名である。そこで採集されたものはカメオ細工の技術を誇るイタリアで加工されたため、さんごの本場はイタリアとされていた。地中海のイタリア近辺では二千年前から紅さんごの採集が行われていたが、近年は減少し、イタリアは日本からの輸入にたよっているのが現状だ。
周囲を大陸だなに囲まれている日本は、もともとさんごの産出国で、日本近海は、現在も世界的なさんご漁場とされており、高知、長崎、鹿児島県下の海域、紀州沖、小笠原、沖縄近辺の海域で採集される。
その他、南シナ海、台湾近海、フィリッピン北部近海、ミッドウェイ海域がさんごの漁場となっている。

血赤、紅、ポケ、自、黒があるさんご

さんごの色には、大きくわけて赤、桃色、白、黒があり、色によって名称がつけられている。

血赤さんご=水深一〇〇〜二〇○〇メートルで採集される、さんごの中でも最も濃い、黒味のある赤のさんご。血赤さんごは最も貴重な品種で、日本では人気がある。

紅さんご=古くは桃さんごといい、「古渡りさんご」は桃さんごが多い。柔らかい色合いが簪などに好んで使われた。一般にいうコーラルレッド。水深一五○〜三五〇メートルで採れる。

ボケさんご=本ボケといっているピンク生地のさんご。欧米ではその淡い色が珍重されている。採取量も少なく、さんごの中では高価。普通、赤、桃色、白の各中間の色をボケと呼び、赤ボケは赤と桃色との中間をいい、桃色と白の中間を本ボケといっている。

白さんご=原木が大きく成長することもあって、さんごの中では安価だが、白色の肌合いは象牙とは違った美しさがある。水深一〇〇〜二〇〇メートルで採集される。赤との縞、あるいは赤の斑の入ったものもあり、これはスカッチと呼ばれている。

黒さんご=一九五八年にハワイ近海で採取されるようになった黒ないしは黒褐色をしたさんご。かつては地中海で採取されていたが採りつくし、二百年前に姿を消したさんごといわれていた。黒さんごは六放サンゴに属すクロサンゴで、本サンゴとは別種のもの。暖海の二〇〜六〇メートルの岩礁に生息し、年間の平均成長は約六センチ、寿命は三〇〜六〇年と推測され、深海に生息する本サンゴとは性質を異にしている。

日本では古くから愛好されたさんご

仏教の経文の中に出てくる「七宝」の中の一つはさんごといわれ、歴史的にももっとも早く知られた宝石の一つといえるが、日本では古くは数珠として使われており、阿国歌舞伎の阿国が、当時の勇将結城秀康から、さんごの数珠を与えられる話が『常山紀談』にある。
古渡りさんごが入ってきたのは室町から江戸時代までで、古渡りさんごの本場は長崎であった。製品だけでなく原木も外国から輸入され、長崎で加工され、主として根つけや根掛け、簪、帯留めなどの宝飾品として用いられた。江戸時代の豪商石川六兵衛の妻が、黒羽二重のきものの南天の実の縫いとりにさんご玉をつけたという話もある。また印篭やたばこ入れの根つけとして、当時の男性たちにも愛用された。

さんごは優しい取り扱いを

サンゴ虫が作りあげたさんごの主成分は炭酸カルシウムで炭酸マグネシウムが数パーセント含まれている。さんごの硬度は三・五と軟らかく、これを利用して古くから精巧な彫刻や細工が施されたわけだが、同時にキズがつきやすい。取り扱いには注意が必要で、硬い宝石といっしょに収納するとキズがつく恐れがある。
また酸や油脂などにも冒されやすいから、肌につけて汗などがついたときは、水洗いをして柔らかい布で拭きとり、日陰で自然乾燥するなどの処置をとること。通常でも肌につけたあとは柔らかい布で拭く程度の手入れがほしい。ナフタリン、べンジン、香水など揮発性のものも光沢を損う原因となるので注意することが必要だ。  


 参考文献
(株)講談社「宝石宝飾事典」
 柏書店松原(株)「宝石・貴金属大事典」
 中央宝石研究所パンフレット
 情報・宝石画像提供 ジュエルクライム

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